人前に立つと、緊張で体がガチガチになる。
声が震える。
手足が震える。
呼吸が苦しくなる。
頭がうまく働かなくなる。
「落ち着かなければ」と思えば思うほど、余計に焦ってしまう。
人前で話すことに苦手意識がある方なら、一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
そんなとき、
「深呼吸をしましょう」
「呼吸を整えましょう」
と言われることがあります。
もちろん、呼吸を整えることは大切です。
しかし私は、緊張の真っただ中にいるときには、もっとシンプルにできることがあると考えています。
それが、
「動作をゆっくりにすること」
です。
しかも、少しではありません。
緊張しているときほど、
「超ゆっくり」
くらいでちょうどいい。
今日は、人前で緊張したときに「体」から呼吸と心を整えていく方法についてお伝えします。
目次
心と体は、別々のものではない
皆さんは、
「心身一如(しんしんいちにょ)」
という言葉をご存じでしょうか。
心と体は切り離されたものではなく、深くつながっているという考え方です。
例えば、不安になると体に力が入ります。
怖いと感じれば、呼吸が浅くなります。
安心すれば、肩の力が抜けます。
つまり、
心の状態が、体に表れる。
これは多くの方が経験していると思います。
しかし、反対方向もあります。
体の状態を変えることで、心を整えることもできる。
ここが今回の大切なポイントです。
「緊張している心を何とかしよう」
と心ばかりに意識を向けるのではなく、
まず体の動きを変えてみる。
すると、そこから呼吸や心にも変化が生まれやすくなります。
人前で緊張すると、なぜ体がガチガチになるのか
人前に立った瞬間、急に体が固くなった経験はありませんか。
「失敗したらどうしよう」
「変に思われたくない」
「うまく話さなければ」
「頭が真っ白になったらどうしよう」
そんなことを考えていると、目の前の状況を「怖いもの」として捉えやすくなります。
すると、知らず知らずのうちに体が身構えます。
呼吸が浅くなる。
あるいは、一瞬息を止めてしまう。
肩に力が入る。
体全体がガチガチになる。
そうなると、
・声が震える
・手足が震える
・表情が硬くなる
・動きがぎこちなくなる
・早口になる
・頭が働きにくくなる
といった状態も起こりやすくなります。
そして、そこでさらに、
「まずい。緊張している」
「震えてはいけない」
「落ち着かなければ」
と思う。
すると、自分の緊張がますます気になってしまいます。
こうして、
心の焦り → 呼吸や体の乱れ → さらに焦る
という循環に入りやすくなるのです。
呼吸法を「やらなければ」が、新たな焦りになることもある
緊張対策として、呼吸法はよく知られています。
私も呼吸を整えること自体は、とても有効だと思っています。
ただ、問題があります。
本当に緊張しているときは、
「何秒吸うんだっけ?」
「何秒止めるんだっけ?」
「吐く方を長くするんだっけ?」
などと考える余裕すらなくなることがあるのです。
しかも、
「呼吸を整えなければ」
「ちゃんと呼吸法をやらなければ」
と考えること自体が、新しい課題になってしまうこともあります。
人前で緊張しているのに、さらにやることを増やしているわけです。
これでは大変です。
だからこそ私は、もっと単純な方法をおすすめしています。
緊張したら、ゆっくり動く。
まずは、これだけです。
緊張すると、人は知らないうちに「速くなる」
緊張している人をよく観察してみると、一つ特徴があります。
いろいろな動作が速くなっています。
名前を呼ばれた瞬間、慌てて立ち上がる。
急いで前へ出る。
バタバタと資料を置く。
顔を上げた瞬間、すぐ話し始める。
そして、早口で一気に話す。
本人は、
「早く終わらせたい」
とは意識していないかもしれません。
しかし、心のどこかでは、
「この怖い状況から早く抜け出したい」
という焦りがあります。
すると、動作まで速くなります。
動作が速くなれば、自分本来のリズムも崩れやすくなります。
呼吸も浅くなる。
言葉も速くなる。
さらに焦る。
つまり、緊張しているときほど、私たちは知らないうちに自分で自分を急かしてしまっているのです。
緊張したときほど「超ゆっくり」動く
そこで、やってほしいことがあります。
次に人前で緊張したら、
いつもの自分より、あえてゆっくり動いてください。
例えばスピーチなら、
名前を呼ばれたら、ゆっくり立つ。
ゆっくり前へ歩く。
演台の前で、ゆっくり止まる。
資料を、ゆっくり置く。
顔を上げる。
目の前の人たちを、ゆっくり見る。
そして、一呼吸おいてから話し始める。
話している途中も、急がない。
言葉と言葉の間に、少し間を取る。
これだけです。
本人としては、
「こんなにゆっくりで大丈夫かな?」
と思うくらいでもいい。
緊張しているときには、自分が思っている以上に動作が速くなっているからです。
だから私は、
「ゆっくり」ではなく「超ゆっくり」
くらいの意識でいいと思っています。
心を整えてから動こうとしなくていい
ここで大切なのは、
「落ち着いてから、ゆっくり動こう」ではない
ということです。
順番が逆です。
緊張したままで構いません。
心臓がドキドキしていてもいい。
手が震えていてもいい。
不安でもいい。
その状態のまま、
動作だけをゆっくりにする。
心が整うのを待っている必要はありません。
むしろ、
整った動作を先に行う。
その結果として、自分のリズムを取り戻しやすくなる。
呼吸にも余裕が生まれる。
体の余計な力も抜けやすくなる。
そして、心も少しずつ落ち着きやすくなる。
私はこの順番を大切にしています。
「緊張をなくそう」としなくてもいい
もう一つ、非常に大切なことがあります。
この方法は、
緊張を完全になくすための方法ではありません。
ここを間違えないでほしいのです。
「ゆっくり動けば緊張しなくなる」
と思ってしまうと、今度は、
「ゆっくり動いたのに、まだ緊張している」
となってしまいます。
そして再び、緊張している自分を否定してしまいます。
そうではありません。
緊張していていいのです。
不安があってもいい。
手が震えてもいい。
大切なのは、
緊張に振り回されず、自分のリズムで行動できること。
緊張している自分を無理に変えようとするのではなく、その自分を認めたうえで、今できる行動へ意識を戻す。
これは、スピーチ革命塾で大切にしている「自己一致」という考え方にもつながります。
【緊張する自分を変えようとするほど、なぜ話せなくなるのか|あがり症を克服する「自己一致」】
スピーチ以外の緊張する場面でも使える
この「ゆっくり動く」という方法は、スピーチだけのものではありません。
例えば、上司への報告。
緊張して早口になりそうなら、席へ向かうところから少しゆっくり動く。
大切な商談。
焦ってすぐ本題へ入るのではなく、資料をゆっくり準備してから話す。
初対面の人との会話。
何か話さなければと焦らず、相手の顔を見て、一呼吸置いてから話す。
電話をかけるとき。
焦って番号を押して、その勢いのまま話し始めるのではなく、動作を一つひとつ丁寧にする。
大切な話を切り出すときも同じです。
私たちは緊張すると、
「何を考えるか」
ばかりを変えようとします。
でも、考えをすぐに変えるのは難しい。
だから、
まず動作を変えてみる。
これは非常にシンプルで、実践しやすい方法だと思います。
普段から「ゆっくり」を練習しておく
そして、この方法を本番だけで使おうとしないことも大切です。
日常生活の中でも練習できます。
椅子から立つ。
歩く。
物を置く。
ドアを開ける。
人と話し始める。
食事をする。
こうした何気ない動作を、ときどき意識してゆっくり行ってみる。
すると、
「あ、自分はかなり急いでいたな」
「呼吸まで浅くなっていたな」
と気づくことがあります。
本番で突然できるようにするのではなく、普段から自分のリズムへ戻る練習をしておく。
これも立派なメンタルトレーニングです。
緊張したら、たった一つ思い出してください
次に緊張する場面が来たとき、いろいろなことを思い出す必要はありません。
呼吸をどうしよう。
姿勢をどうしよう。
視線をどうしよう。
声をどうしよう。
そんなにたくさん考えなくて大丈夫です。
一つだけです。
「緊張したら、超ゆっくり動く。」
前へ出る。
資料を置く。
顔を上げる。
相手を見る。
一呼吸する。
そして、話す。
一つひとつを丁寧に行ってください。
緊張している自分を置き去りにして、無理やり落ち着こうとしなくていい。
緊張している自分と一緒に、ゆっくり動けばいいのです。
心と体はつながっています。
心から体を整えることもできます。
そして反対に、
体から心を整えることもできます。
緊張をなくそうとするのではなく、自分のリズムを取り戻す。
ぜひ次に人前で緊張したとき、
「超ゆっくり」
を試してみてください。
今日のまとめ
- 人前で緊張すると、呼吸が浅くなり、体にも力が入りやすくなる
- 緊張すると、無意識に動作や話すスピードまで速くなりやすい
- 呼吸を無理にコントロールするより、まず動作をゆっくりにしてみる
- 心が整うのを待つのではなく「整った動作」を先に行う
- 緊張をなくす必要はなく、緊張したまま自分のリズムで行動すればいい
- 本番だけでなく、日常から「ゆっくり動く」練習をしておく
人前の緊張を、テクニックだけではなく土台から整えたい方へ

スピーチ革命塾では、
「どうすれば緊張しなくなるか」
だけを追いかけることはしません。
緊張することは、人として自然な反応だからです。
大切なのは、緊張があっても、その自分を否定せず、目の前でやるべきことへ意識を戻せること。
そして、自分の持っている力を発揮できるようになることです。
そのために、
心を整える。
話し方を学ぶ。
実践で磨く。
この3つを大切にしています。
話し方を表面的なテクニックだけではなく、心の土台から整えていきたい方は、スピーチ革命塾の無料相談・体験講座をご覧ください。