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緊張する自分を変えようとするほど、なぜ話せなくなるのか|あがり症を克服する「自己一致」

緊張する自分を変えようとするほど、なぜ話せなくなるのか|あがり症を克服する「自己一致」

「緊張してはいけない」と思うほど苦しくなる

会議の前に、

「今日は絶対に緊張しないようにしよう」

と自分に言い聞かせる。

ところが、心臓がドキドキしてくる。

「まずい。緊張してきた」

さらに焦る。

「落ち着け。堂々としろ」

でも、緊張はもっと強くなる。

そんな経験はないでしょうか。

私は何度もありました。

かつて重度のあがり症だった頃の私は、

「緊張する自分を何とかしなければ」

とずっと戦っていました。

でも今なら分かります。

私を苦しめていたのは、緊張そのものだけではありませんでした。

「緊張している自分ではダメだ」と否定し、別の自分になろうとしていたこと。

ここに大きな問題があったのです。


自己一致とは何か

私が「心のフォーム」の一つとして大切にしているのが、

自己一致

です。

難しそうな言葉ですが、私が話し方で使う意味はシンプルです。

自分の心に正直でいること。

心の中では緊張しているのに、外では「全然平気です」という自分を作る。

本当は不安なのに、「自信満々な自分」を演じる。

弱さを感じているのに、「強い人間でなければ」と無理をする。

こうして内面と外面がズレている状態を、私は「自己不一致」と捉えています。

反対に、

「今、自分は緊張しているな」

「怖いんだな」

「でも、これも今の自分だ」

と認め、その自分のまま人前に立つ。

これが自己一致です。


話し方で起こる「自己不一致」

特に40代、50代になり、会社で責任ある立場になるほど、この自己不一致は起こりやすくなります。

「管理職なんだから、堂々としていなければ」

「部下の前で弱い姿は見せられない」

「経営者なのだから、立派に話さなければ」

責任が増えるほど、「こうあるべき自分」も大きくなります。

でも、人間です。

管理職だって緊張します。

経営者だって怖いときがあります。

講師である私だって不安になることがあります。

弱さをなくすことなどできません。

ところが、

「こんな自分ではいけない」

と弱い自分を隠し始める。

そして、「理想の自分」を演じようとする。

その瞬間、本当の自分との戦いが始まります。


なぜ自分を作るほど緊張が強くなるのか

人前で話すだけでも、ある程度の負荷がかかっています。

そこへさらに、

「緊張を見せてはいけない」

「声を震わせてはいけない」

「堂々として見せなければ」

という仕事を自分に追加したらどうでしょう。

話す。

内容を思い出す。

相手を見る。

さらに、

緊張を隠す。

自分を演じる。

評価を気にする。

心の中では、いくつものことを同時に処理することになります。

苦しくなって当然です。

本当の自分を隠して、別の自分を演じようとするほど、心には余計な力が入ります。

そして、その力みが、さらに緊張を強くしていく。

だから私は、

“ちゃんとした自分”を演じようとした瞬間、人は崩れやすくなる

と考えています。


緊張する自分を認めるとは「あきらめる」ことではない

ここで誤解してほしくないことがあります。

「緊張している自分でいい」

というのは、

「もう成長しなくていい」

「練習しなくていい」

「苦手なままでいい」

という意味ではありません。

今の自分を認めることと、成長をあきらめることは別です。

例えば、

「今の自分は緊張している」

と認めたうえで、

「それでも、今日は一つだけ相手に届けよう」

と行動することはできます。

むしろ、自分との戦いをやめることで、本来使えるはずだったエネルギーを、目の前の話へ使えるようになります。

自己一致とは、自分を甘やかすことではありません。今の自分を出発点にすることです。


「ちゃんとした自分」を演じなくていい

私たちは、知らないうちにたくさんの鎧を着ています。

立派に見られたい。

賢く見られたい。

失敗したくない。

弱いと思われたくない。

嫌われたくない。

でも、その鎧を着込むほど、本当の自分は奥へ隠れていきます。

そして不思議なことに、人の心に届くのは、完璧に作り込まれた人よりも、

少し不器用でも、

少し言葉に詰まっても、

自分の言葉で一生懸命話している人だったりします。

人は、完璧さだけに心を動かされるわけではありません。

その人の誠実さや、本気さ、人間らしさにも心を動かされます。

だから、鎧を一枚ずつ脱いでいい。

緊張している自分でいい。

今の自分のまま、目の前に立てばいいのです。


自己一致を本番で使うための3つのステップ

自己一致は、頭で理解するだけでは身につきません。

私はまず、次のように自分へ戻ることを大切にしています。

1.気づく

「今、緊張しているな」

「よく見せようとしているな」

「失敗を怖がっているな」

まず、自分の中で何が起きているかに気づきます。

2.認める

「今は緊張している」

「怖い自分がいる」

それを良い・悪いと裁かず、今の自分として認めます。

3.そのまま行動する

緊張がなくなるまで待つ必要はありません。

「緊張している自分のまま、話そう」

と一歩前へ出る。

これを何度も繰り返します。

緊張をなくしてから行動するのではなく、

緊張している自分と一緒に行動する。

ここがポイントです。


自己一致すると、自分らしい話し方が戻ってくる

自己一致すると、急に話のプロになるわけではありません。

緊張がゼロになるわけでもありません。

でも、一つ大きく変わることがあります。

自分と戦うために使っていたエネルギーを、話すことに使えるようになる。

「震えていないかな」

「変に見えないかな」

「ちゃんとできているかな」

という自己監視が少しずつ減り、目の前の相手を見る余裕が生まれます。

そこで、心のフォームのもう一つの柱、

プレゼントマインド

が生きてきます。

自分との戦いをやめたうえで、

「では、目の前の人に何を届けよう?」

と相手へ意識を向ける。

【プレゼントマインドとは】

自己一致とプレゼントマインド。

この二つが揃ったものを、私は「心のフォーム」と呼んでいます。

【話し方の土台「心のフォーム」とは】


弱さがあっても、人前には立てる

昔の私は、

「緊張しなくなったら、人前で堂々と話せる」

と思っていました。

でも、順番が逆だったのかもしれません。

緊張する自分を排除するのではなく、

その自分を連れて、人前に立つ。

失敗するかもしれない自分。

不安な自分。

完璧ではない自分。

全部含めて、自分です。

そして、その自分で目の前の人に向き合う。

それを繰り返すうちに、

「緊張しても大丈夫」

という経験が積み上がっていきます。

強い人とは、弱さがない人ではありません。弱さを持った自分のまま、一歩前へ出られる人です。

もし今、人前で緊張する自分を責めているなら、次の本番で一度だけ思い出してください。

「この自分でいい」

そのうえで、

「この自分で、何を届けよう?」

と考えてみる。

そこから、自分らしい話し方が始まります。

今日のまとめ

・自己一致とは、自分の心に正直でいること
・緊張している自分と「堂々とした自分を演じようとする自分」のズレが、心の負荷を大きくする
・緊張する自分を認めることは、成長をあきらめることではない
・気づく→認める→そのまま行動する、を繰り返す
・緊張をなくしてから話すのではなく、緊張している自分のまま話していい
・自己一致によって、自分との戦いに使っていた力を、目の前の相手へ向けられるようになる

「緊張する自分」と戦い続けている方へ

スピーチ革命塾では、緊張を無理になくすことよりも、緊張する自分との向き合い方を大切にしています。

「緊張してはいけない」

「もっと堂々としなければ」

と頑張り続けて疲れてしまった方は、一度「自分を変える」ことから離れ、自分に戻るところから始めてみてください。

無料相談や体験講座では、あなたが本番でどんな自分を作ろうとしているのかも含め、一緒に整理していきます。

そのままの自分で、人前に立てる。

そこから、本当の意味での自信を育てていきましょう。

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