人前で話しているとき、
「声が震えているのがバレたらどうしよう」
「顔が赤くなっているのを見られたくない」
「手の震えに気づかれたら恥ずかしい」
「緊張していると思われたくない」
こんなことばかり気になって、話に集中できなくなることはありませんか。
私も昔は、ものすごく気にしていました。
緊張することも嫌でした。
でも、それ以上に嫌だったのが、
「緊張している自分を、人に気づかれること」
だったんです。
だから、なるべく堂々として見せようとする。
震えを隠そうとする。
平静を装う。
何でもないような顔をする。
ところが、不思議なことに、隠そうとすればするほど緊張が気になってしまうんですね。
なぜなのか。
今回は、「緊張しているのがバレるのが恥ずかしい」という気持ちの奥に、何があるのかを考えてみたいと思います。
目次
■緊張を隠そうとするほど、緊張が気になる
人前で緊張すると、私たちはその状態を何とか隠そうとすることがあります。
「震えるな」
「声だけは震えないでくれ」
「顔が赤くなるな」
「緊張していると思われるな」
そうやって、自分をコントロールしようとする。
でも、その瞬間から、自分の意識はどこへ向かうでしょうか。
自分の声です。
自分の手です。
自分の顔です。
そして、周りの人の表情です。
「今の震え、気づかれたかな」
「あの人、変な顔していなかったかな」
「自信がない人だと思われていないかな」
話しながら、ずっと自分の状態と周囲の反応を確認している。
これでは、目の前の話に集中することが難しくなります。
本当は相手に伝えたいことがあったはずなのに、
「自分がどう見られているか」
で頭の中がいっぱいになってしまうのです。
■あなたが本当に怖いのは「緊張すること」なのか
ここで一度、考えてみてほしいことがあります。
あなたが本当に怖いのは、「緊張すること」なのでしょうか?
例えば、一人で家にいるとします。
そこで手が少し震えた。
顔が少し熱くなった。
心臓がドキドキした。
同じ体の反応が起きても、人前にいるときほどは気にならないかもしれません。
あるいは、家族や気心の知れた友人の前で、
「いやあ、俺、めちゃくちゃ緊張してるわ(笑)」
と言える状況ならどうでしょう。
緊張そのものは残っていたとしても、少し気持ちは楽になるのではないでしょうか。
ところが、
会社の会議。
大勢の前での挨拶。
上司への報告。
大切なプレゼン。
こうした場面になると、同じ緊張でも一気に怖くなる。
なぜでしょうか。
■緊張の奥にある「人からどう思われるか」という怖さ
もしかすると、本当に怖いのは緊張そのものだけではないのかもしれません。
緊張している自分を見られて、
「頼りない人だと思われたらどうしよう」
「仕事ができない人だと思われたらどうしよう」
「自信がない人だと思われるかもしれない」
「かっこ悪いと思われたくない」
「評価が下がったら嫌だ」
そうした、
「人からどう思われるか」
への怖さが、緊張の奥に隠れていることがあります。
私は、ここに気づくことがとても大切だと思っています。
なぜなら、
「声の震えをなくそう」
「赤面しないようにしよう」
「緊張しないようにしよう」
と表面に出ている反応だけを何とかしようとしても、その奥にある、
「人から悪く思われたくない」
という怖さが変わっていなければ、今度は別のものが気になってしまうことがあるからです。
声の震えが気にならなくなったら、次は表情。
表情が気にならなくなったら、話し方。
「今の言い方、おかしくなかったかな」
「ちゃんとできる人に見えているかな」
次々と「どう見られているか」が気になる。
だから、一度表面から離れて、その奥にある気持ちを見てみる必要があります。
■私も「人前で話すこと」だけが怖かったわけではなかった
私自身、長い間あがり症に悩んでいました。
当時は、
「自分は人前で話すことが怖いんだ」
と思っていました。
もちろん、それもあったと思います。
でも、今振り返ると、それだけではありませんでした。
失敗した自分を見られたくない。
緊張している自分を見られたくない。
できない人間だと思われたくない。
恥をかきたくない。
つまり私は、人前に立ちながら必死に、
「自分を守ろう」
としていたんです。
そして、自分を守ろうとすればするほど、意識は自分自身へ向かっていきました。
「どう見られている?」
「ちゃんと話せている?」
「声は震えていない?」
「変に思われていない?」
これでは、目の前の人に何かを届けるどころではありません。
■話す目的は「自分を守ること」ではない
ここで、話すということの本来の目的に戻ってみてください。
私たちは、何のために人前で話すのでしょうか。
自分を立派に見せるためでしょうか。
緊張していないことを証明するためでしょうか。
完璧な人間だと思ってもらうためでしょうか。
違いますよね。
本来、話すというのは、
目の前の相手に、何かを届けるためにするものです。
会議なら、自分の意見を伝える。
報告なら、相手が判断できる情報を届ける。
朝礼なら、今日大切にしてほしいことを伝える。
プレゼンなら、商品や提案の価値を理解してもらう。
目的は、そこにあったはずです。
ところが緊張すると、
「何を届けるか」
より、
「自分がどう見られるか」
が大きくなってしまう。
だから私は、人前で緊張したときほど、
「どう見られているだろう?」
ではなく、
「自分は、この人たちに何を届けたいんだろう?」
と問い直すことが大切だと考えています。
■「どう見られるか」から「何を届けるか」へ
スピーチ革命塾では、この心の向け方を、
「プレゼントマインド」
と呼んでいます。
プレゼントを渡すとき、意識は相手へ向きますよね。
「喜んでもらえるかな」
「これを届けたいな」
という気持ちになります。
話すことも同じです。
自分がどう見えるかばかりを考えるのではなく、
「この人に何を届けるか」
へ心を向けていく。
うまく話せなくてもいい。
少しくらい声が震えてもいい。
緊張していることが、相手に伝わってもいい。
それよりも、
今日、自分は何を伝えたいのか。
相手に何を持ち帰ってほしいのか。
そこへ心を戻す。
緊張が完全になくなることを目指すのではなく、緊張している自分のまま、相手に心を向けていくのです。
■緊張している自分を隠さなくていい
そして、もう一つ大切なのが、
「緊張している自分を無理に隠さないこと」
です。
「緊張してるな」
「声、ちょっと震えてるな」
「まあ、いいじゃん。緊張したって」
まず、その自分を認めてあげる。
これは、
「緊張したままで何もしなくていい」
という意味ではありません。
緊張しているという今の自分を否定せず、そこから目の前の相手へ心を戻すということです。
スピーチ革命塾では、緊張や不安を感じている今の自分を否定せず、自分に正直でいることを、
「自己一致」
と呼んでいます。
そして、
「自分がどう見られるか」だけにとらわれず、相手に何を届けたいかへ心を向ける。
これが「プレゼントマインド」です。
この二つを合わせた話すときの心の土台を、私は、
「心のフォーム」
と呼んでいます。
一言で表すなら、
「正直な自分で、相手に真心を込めて話す」
という在り方です。
■「バレたら、本当に何が怖い?」と自分に聞いてみる
では、次に人前で、
「緊張しているのがバレたらどうしよう」
と思ったらどうすればいいのでしょうか。
まず、緊張を消そうとする前に、一度だけ自分へ問いかけてみてください。
「バレたら、本当に何が怖いんだろう?」
仕事ができないと思われること?
頼りないと思われること?
自信がないと思われること?
かっこ悪いと思われること?
評価が下がること?
答えは、人によって違います。
すぐに答えが出ないこともあるでしょう。
それでも構いません。
大切なのは、
「自分は緊張が怖い」
だけで終わらせず、その奥にある自分の気持ちに少し目を向けてみることです。
自分が何を怖がっているのか分かれば、緊張との向き合い方も少しずつ変わってきます。
■人からの評価は、自分では決められない
もう一つ、覚えておいてほしいことがあります。
どれだけ完璧に話しても、
相手が自分をどう評価するかまでは、自分では決められません。
堂々と話しても、
「自信があって素晴らしい」
と思う人もいれば、
「少し強すぎるな」
と思う人もいるでしょう。
緊張しながら一生懸命話している姿を見て、
「頼りない」
と思う人がいるかもしれない。
一方で、
「緊張しているのに、頑張って伝えているな」
と受け取る人もいるかもしれません。
相手の評価まで完全にコントロールしようとすれば、終わりがありません。
だから、自分が戻れる場所を持つことです。
「相手にどう思われるか」ではなく、
「自分は、どういう心で相手に向き合うのか」
そこは、自分で選ぶことができます。
■完璧な話より「どんな心で向き合っているか」
私は、完璧に話すことだけが人の心を動かすとは思っていません。
少し言葉に詰まることもある。
声が震えることもある。
緊張が相手に伝わることだってあります。
それでも、
「このことを伝えたい」
「この人の役に立ちたい」
という思いを持って、一生懸命言葉を届ける。
その姿から伝わるものがあります。
話し方というのは、テクニックだけではありません。
どんな心で相手の前に立っているのか。
その心は、言葉、表情、声、態度に表れていきます。
だから、緊張を隠すことだけに力を使わなくていい。
「緊張しているのがバレてもいい」
そこまで思えなくても、
「今、自分は緊張を隠そうとしているな」
と気づくだけでも構いません。
そして、最後はここへ戻ってきてください。
「まあ、緊張していてもいい。それより、自分はこの人に何を届けたいんだろう?」
自分の心に正直に。
そして、目の前の相手に心を込めて話す。
それが、人前で自分を見失わないための一つの土台になると、私は考えています。
【今日のまとめ】
・「緊張しているのがバレるのが怖い」と感じる人は少なくない
・緊張を隠そうとするほど、自分の声や震え、周囲の表情が気になりやすくなる
・本当に怖いものが、緊張そのものではなく「緊張した自分をどう評価されるか」である場合もある
・まずは「バレたら、本当に何が怖い?」と自分に問いかけてみる
・緊張している自分を無理に否定せず、その自分を認める
・「どう見られるか」だけにとらわれず、「何を届けたいか」へ心を戻す
・自分に正直であり、相手に真心を込めることが「心のフォーム」の土台になる
【あわせて読みたい】
・「『どう見られるか』から『何を届けるか』へ|人前の緊張を変えるプレゼントマインド」
・「緊張する自分を変えようとするほど、なぜ話せなくなるのか|あがり症を克服する『自己一致』」
・「人前で緊張する人に多い『他人軸』という心のクセ|自分らしく話すための自分軸の育て方」
・「人前で緊張してうまく話せない原因は『心』にある|話し方の土台『心のフォーム』とは」
「緊張を隠すこと」に疲れてしまった方へ

人前で話すたびに、
「震えていないだろうか」
「緊張がバレていないだろうか」
「変に思われていないだろうか」
と考え続けるのは、とても疲れます。
スピーチ革命塾では、緊張を無理やり消すことだけを目指すのではなく、
「緊張している自分と、どう向き合うのか」
「人前に立ったとき、どこへ心を向けるのか」
という話し方の土台から整えていきます。
そして、その土台の上で実際に話す練習を重ね、
「緊張したけれど、自分の言葉で伝えられた」
という経験を積み重ねていきます。
緊張している自分を隠すことに精一杯になってしまう。
周囲からどう見られているかが気になって、話に集中できない。
仕事で人前に立つことから、もう逃げられない。
そんな悩みを抱えている方は、スピーチ革命塾の無料相談や体験教室にお気軽にお越しください。
緊張を隠すためではなく、
自分らしく、目の前の相手に届けるために話す。
そのための心の土台から、一緒に整えていきましょう。