「本番が近づくと、不安で仕方がない」
「人前に立つと、自信がなくなる」
「練習ではできるのに、本番になるとうまく話せない」
そんな悩みを持っている方は少なくありません。
そして、うまく話せなかったとき、
「やっぱり自分はメンタルが弱い」
「自分は本番に弱い」
「緊張しやすい性格だから仕方ない」
と考えてしまう人も多いでしょう。
でも、本当に原因は「メンタル」だけなのでしょうか。
私は、そうとは限らないと思っています。
本番で自信が持てないときこそ、自分に一度問いかけてほしいのです。
「本番までに、やるべきことをやってきただろうか」
ここを見直すだけで、話し方への向き合い方は大きく変わります。
目次
「負けに不思議の負けなし」という言葉
皆さんは、
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」
という言葉をご存じでしょうか。
元プロ野球監督の野村克也さんが座右の銘として大切にしていたことで知られています。
意味は、
「偶然うまくいくことはあっても、うまくいかなかったときには、そこに何かしらの原因がある」
というものです。
もちろん、スピーチは勝ち負けではありません。
しかし、
「本番で自分の力を発揮できるかどうか」
という意味では、この考え方はかなり通じると思っています。
本番だけを見て、
「今日はダメだった」
「緊張してしまった」
と落ち込むのではなく、
その前に、
「何が足りなかったのか」
を見直す。
ここに次へのヒントがあります。
人前で自信が持てないのは、心が弱いからとは限らない
本番が近づくと、不安になる。
これは自然なことです。
しかし、その不安をすべて、
「自分のメンタルが弱いからだ」
と決めつけてしまうのは少し違います。
例えば、原稿を作っただけで安心していないでしょうか。
頭の中で何度か読んで、
「だいたい覚えたから大丈夫」
と思っていないでしょうか。
実際に声に出して練習したか。
時間を計ったか。
本番と同じように立って話したか。
視線や間まで意識したか。
誰かに聞いてもらったか。
想定外のことが起きたときにどうするかまで考えたか。
こうして振り返ると、
「実は、それほど準備していなかった」
ということは珍しくありません。
それなのに、
「自信がない」
と悩んでいる。
でも、それはある意味当然です。
自信を支えるだけの準備が、まだ足りていないのかもしれません。
「緊張したからできなかった」で終わらせない
以前、こんな相談を受けたことがあります。
「子どもがピアノの発表会で緊張して、うまく弾けませんでした。どうしたら緊張しなくなりますか」
もちろん、メンタル面の影響もあるでしょう。
そこで私は、
「お子さんは、目をつむっていても弾けるくらい、その曲を繰り返し練習していますか?」
と尋ねました。
すると、お母さんはすぐには答えられませんでした。
本番で緊張した。
だから弾けなかった。
そう考えることは簡単です。
でも、その前に見るべきことがあります。
「緊張しても弾けるところまで、練習していたか」
ということです。
これは、スピーチでもまったく同じです。
必要なのは「緊張しないこと」ではない
本番では何が起こるか分かりません。
突然頭が真っ白になるかもしれない。
思っていた以上に緊張するかもしれない。
予定していた言葉が出てこないこともあるでしょう。
だからこそ、目指すべきなのは、
「緊張しないこと」
ではありません。
必要なのは、
「緊張しても話せるところまで準備すること」
です。
ここを間違えないことが大切です。
どれだけ準備しても、緊張することはあります。
それでいいのです。
緊張していても、
次の言葉が出てくる。
流れを思い出せる。
一度止まっても戻れる。
その状態をつくっておく。
それが、本番前の準備です。
不安は「まだできることがある」というサインかもしれない
不安を感じたとき、
「こんなに不安になる自分はダメだ」
と考える必要はありません。
その不安は、
「まだ準備できることがある」
というサインかもしれません。
例えば、
「内容を忘れそうで不安」
なら、声に出して練習する。
「時間内に収まるか不安」
なら、時間を計る。
「人前に立つと頭が真っ白になりそう」
なら、本番に近い形で誰かの前で話してみる。
「質問されたら怖い」
なら、想定質問を書き出して練習する。
不安をただ消そうとするのではなく、
不安の中にある「まだ準備できること」を探す。
そうすると、不安は敵ではなくなります。
自信は、待っていても湧いてこない
よく、
「もっと自信がついたら、人前で話したい」
という方がいます。
しかし、自信というものは、何もしないまま待っていて突然湧いてくるものではありません。
声に出して練習した回数。
失敗しても、もう一度やり直した経験。
人に聞いてもらった回数。
本番に近い環境で練習した経験。
そうした一つひとつの積み重ねによって、
「ここまでやってきた」
という感覚が生まれます。
それが、
根拠のある自信
になります。
「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせるだけではなく、
「これだけやったのだから、あとはやるだけだ」
と思える状態。
こちらの方が、ずっと強いです。
心を整えることと、準備から逃げることは違う
私はスピーチ革命塾で、話し方の土台として「心のフォーム」を大切にしています。
緊張する自分を否定しない。
自分を偽らない。
そして、「どう見られるか」ではなく、目の前の相手に何を届けるかへ意識を向ける。
これは、とても大切です。
【人前で緊張してうまく話せない原因は「心」にある|あがり症を克服する話し方の土台】
ただし、
「緊張している自分でいい」
という考え方を、
「準備しなくてもいい」
に変えてはいけません。
これはまったく別の話です。
緊張はあっていい。
でも、準備はする。
不安はあっていい。
でも、やるべき練習はする。
自分を受け入れることと、自分に甘くなることは違います。
ここはかなり重要です。
本番の自分を助けてくれるのは「本番までの自分」
私は、本番前になると一つ大切にしている考えがあります。
それは、
本番の自分を助けてくれるのは、本番までの自分である
ということです。
本番当日になって、
「緊張しないようにしよう」
「今日はうまくいきますように」
と願っても、それだけではどうにもならないことがあります。
でも、
昨日練習した自分。
一週間前から繰り返してきた自分。
面倒でも声に出した自分。
誰かに聞いてもらった自分。
時間を計った自分。
その積み重ねは、本番の自分を裏切りません。
本番で苦しくなったとき、
「ここまでやってきた」
という事実が支えてくれます。
スピーチ練習で最低限やってほしいこと
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。
私なら、本番前に少なくとも次のことはやってほしいと思います。
1.原稿を作ったら、声に出す
頭の中で読むのと、実際に話すのではまったく違います。
声に出すことで、
「ここは言いにくい」
「この文章は長い」
「ここで息が切れる」
といった問題が見えてきます。
2.時間を計る
5分のスピーチなら、必ず実際に5分で収まるか確認する。
本番で時間を気にし始めると、それだけで焦りにつながります。
3.立って練習する
本番が立って話す形式なら、練習も立って行う。
視線、姿勢、資料の持ち方まで、本番に近づけます。
4.人に聞いてもらう
一人でできることと、人の視線がある中でできることは別です。
家族でも同僚でも構いません。
人の前で一度話してみる。
5.一度うまくいったところで終わらせない
一回うまく話せただけでは、本番で再現できるとは限りません。
何度か繰り返して、
「多少崩れても戻れる」
ところまで持っていく。
ここまでやって初めて、本番への安心感が育ってきます。
「負けに不思議の負けなし」は、自分を責める言葉ではない
ここも大切です。
「負けに不思議の負けなし」
という言葉を、
「失敗したのは全部自分のせいだ」
という自己否定に使う必要はありません。
結果には、自分ではどうにもできないこともあります。
突然の機材トラブル。
予想外の質問。
体調。
会場の環境。
相手の反応。
すべてをコントロールできるわけではありません。
でも、
今の自分に見直せることは何だったか
を考えることはできます。
準備が足りなかった。
練習回数が少なかった。
実践形式の練習をしていなかった。
途中で「まあ大丈夫だろう」とやめてしまった。
原因が分かれば、次にやれることがあります。
だから、この言葉は自分を責めるためではなく、
次の一歩を見つけるための言葉
として使えばいいのです。
「誰よりもやる」は、とてもシンプルで強い
私自身、最近この、
「負けに不思議の負けなし」
という言葉をとても気に入っています。
なぜなら、うまくいかなかったとき、
「自分には才能がない」
で終わらせなくて済むからです。
準備が足りなかったなら、もっと準備する。
行動が足りなかったなら、もっと行動する。
途中で諦めたなら、もう一度やる。
原因があるなら、次にできることがある。
とてもシンプルです。
逃げずに、やるべきことをやる。
さっさとやる。
とことんやる。
もちろん、努力すれば必ず思い通りの結果になるとは限りません。
結果そのものを完全にコントロールすることはできないからです。
でも、
今、自分にできる準備と努力を選ぶことはできます。
ここは自分で決められます。
根拠のある自信は、本番までにつくられる
人前で自信を持って話したい。
そう思うなら、本番当日に自信を出そうとしなくていいのです。
自信は、その日までの積み重ねの中で作っておく。
声に出した。
時間を計った。
何度も失敗した。
それでも、もう一度やった。
人前でも練習した。
できることを、やってきた。
その積み重ねが、
「これだけやってきたのだから大丈夫」
という自信になる。
そして、本番で緊張したとしても、
その自信は簡単には消えません。
緊張してもいい。
不安でもいい。
その上で、
緊張しても話せるところまで準備する。
これが、本番で自分の力を発揮するために、とても大切なことだと思っています。
次の本番に不安があるなら、自分を責める前に一つだけ考えてみてください。
「今日、あと何ができるだろう?」
声に出して、一回話す。
時間を計る。
誰かに聞いてもらう。
たった一回でも構いません。
その一回が、本番のあなたを支えてくれます。
本番の自信は、本番までにつくる。
そのために今日、できることを一つやってみてください。
今日のまとめ
- 本番で自信が持てない原因を、すべて「メンタルの弱さ」にしない
- 原稿を作ることと、本番で話せるところまで準備することは違う
- 必要なのは「緊張しないこと」ではなく「緊張しても話せるところまで準備すること」
- 不安は「まだ準備できることがある」というサインになることもある
- 根拠のある自信は、練習と実践の積み重ねから生まれる
- 失敗したら自分を責めるのではなく、「次に何を改善できるか」を考える
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スピーチ革命塾では、話し方をテクニックだけで考えていません。
心 × 話し方 × 実践
この3つを大切にしています。
心の土台を整える。
伝わる話し方を学ぶ。
そして、人前で繰り返し実践する。
どれか一つだけではなく、この3つを積み重ねていくことで、本番でも自分の力を発揮できる話し方を育てていきます。
「本番になると緊張してしまう」
「何を練習したらいいのか分からない」
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緊張をなくすことだけを目指すのではなく、緊張しても崩れない話し方を、一緒に育てていきましょう。