人前に立つと、心臓が激しく鳴る。
声や手が震え、頭が真っ白になる。
「失敗したらどうしよう」
「緊張していることが周囲に伝わったら恥ずかしい」
そんな考えが次々と浮かび、話す前から逃げ出したくなる。
そして、本番が終わったあとも、
「また話せなかった」
「どうして自分だけ、こんなに緊張するのだろう」
と、自分を責め続けてしまう。
あなたにも、このような経験はないでしょうか?
あがり症は、単に「話し方が下手だから」起こるものではありません。
身体の防御反応、過去の失敗経験、他人からの評価への恐れ、完璧主義、予期不安、準備や経験の不足、そして緊張する自分への否定など、複数の要因が関係しています。
そのため、話し方の本を読んだり、発声やスピーチのテクニック、緊張を一時的に和らげる方法を学んだりしても、大事な場面では、またあがってしまうことがあります。
私は現在、あがり症専門のメンタルトレーナーとして、あがり症や人前での緊張に悩む方を指導しています。
しかし、私自身も約20年間、重度のあがり症に苦しんできました。
たくさんの話し方教室で話し方を学び、何度も人前に立っても、いざ大事な場面になると頭が真っ白になる。
「今度こそ、緊張しないようにしよう」
そう思えば思うほど、かえって緊張は強くなりました。
その経験と、これまで多くの方を指導してきたなかで、分かったことがあります。
あがり症を改善するために必要なのは、緊張を完全になくすことではありません。
「緊張する自分を何とかしなければ」という自分自身との戦いを終わらせ、緊張していても自分を見失わず、目の前の相手に届けたいものを届けられる心と技術を育てることです。
この記事では、あがり症の症状や原因、なぜこれまで改善しなかったのか、根本的な改善に必要なことまで、分かりやすく解説します。

目次
1.あがり症とは
あがり症とは、人前で話すときや注目を浴びる場面で、強い緊張や不安が生じ、本来の力を発揮しにくくなる状態を表す一般的な呼び方です。
例えば、次のような場面で起こりやすくなります。
- 会議や朝礼で発言する
- 大勢の前でスピーチをする
- プレゼンテーションや司会を行う
- 面接や試験を受ける
- 自己紹介をする
- 上司へ報告する
- 初対面の人と話す
大切な場面で緊張すること自体は、決して異常なことではありません。
緊張は、危険や失敗の可能性に備え、自分の身を守ろうとする、人間に備わった自然な防御反応の一つです。
厚生労働省が公表している情報のなかでも、大勢の人の前で話すときに緊張して汗をかいたり、心臓がドキドキしたりすることは、自然な反応だと説明されています。
人前で緊張すること自体が、問題ではありません。
しかし、その緊張に振り回されて、話すことを避けたり、自分を責め続けたりするようになると、緊張は本人を苦しめる深刻な悩みへ変わっていきます。
- 話す役割を避け続けている
- 仕事や人間関係に影響が出ている
- 本番の前後も長時間苦しんでいる
- 緊張する自分を責め続けている
このような状態が続いているなら、単なる一時的な緊張ではなく、改善に向けた取り組みが必要かもしれません。
なお、「あがり症」は一般的な呼称であり、医学的な診断名である「社交不安症」と、常に同じものではありません。
参考:厚生労働省「不安障害」
2.あがり症に見られる主な症状
あがり症の症状は、声の震えや動悸といった身体的なものだけではありません。
身体・思考・感情・行動の四つに分けて考えると、自分の状態を整理しやすくなります。
身体に表れる症状
- 心臓がドキドキする
- 声や手足が震える
- 顔が赤くなる
- 汗が大量に出る
- 呼吸が浅くなる
- 口や喉が渇く
- 身体や表情がこわばる
これらは、身体が大切な場面に備えようとして起こす反応です。
ところが、
「声が震えていないか」
「手の震えが見られていないか」
と自分の状態を監視し始めると、身体反応への意識が強くなり、さらに緊張することがあります。
思考に表れる症状
- 頭が真っ白になる
- 用意していた言葉が出てこない
- 話の順番が分からなくなる
- 失敗する場面ばかり想像する
- 相手の表情を悪い意味に受け取る
- 「絶対にうまく話さなければ」と考える
- 小さな言い間違いを重大な失敗だと感じる
強く緊張すると、意識が「伝える内容」ではなく、自分の失敗や身体反応へ向きやすくなります。
その結果、話すために使いたい注意力が、自分を監視するために使われ、頭が真っ白になることがあります。
感情に表れる症状
- 強い不安や恐怖
- 恥ずかしさ
- 焦り
- 劣等感
- 自分への怒り
- 本番後の後悔や落ち込み
あがり症に悩む人は、人前で話している時間だけ苦しいわけではありません。
本番の何日も前から不安になり、終わったあとも失敗した部分を繰り返し思い出します。
実際に話している数分間より、その前後に苦しんでいる時間の方が長い場合もあるのです。
行動に表れる症状
- 人前で話す役割を避ける
- 会議で発言しない
- 司会や挨拶を断る
- 原稿を一字一句暗記する
- 下を向いたまま早口で話す
- 緊張を隠すことばかり考える
- 昇進や管理職になることを避ける
避けることで、その場では安心できるかもしれません。
しかし、回避を続けると、
「やはり自分にはできない」
「人前で話すことは危険だ」
という思いが強まり、次の機会がさらに怖くなることがあります。

3.あがり症が起こる主な原因
あがり症の原因は、一つではありません。
生まれつきの性格だけで決まるものでもなければ、話し方が下手だから起こるものでもありません。
複数の要因が重なり、緊張や不安が強くなっていることが多いのです。
人間に備わった防御反応
人は、危険や失敗の可能性を感じると、身体を緊張状態へ切り替えます。
人前で注目されることや、失敗によって評価を下げられることを「脅威」と受け取ると、心拍数が上がり、筋肉がこわばります。
これは、自分を守るための自然な働きです。
過去の失敗経験と予期不安
以前のスピーチで言葉に詰まったり、声が震えて恥ずかしい思いをしたりすると、似た場面で過去の記憶がよみがえることがあります。
すると本番前から、
「また失敗するかもしれない」
と想像し、実際に話す前から身体が緊張状態になります。
他人からの評価への恐れ
人前で話すとき、
「何を伝えるか」よりも、
「自分がどう見られるか」
に意識が向くことがあります。
人前で話すことが、相手へ何かを届ける行為ではなく、自分の価値を判定される試験のようになってしまうのです。
完璧に話そうとする気持ち
責任感が強く真面目な人ほど、
「間違えてはいけない」
「堂々と話さなければならない」
と考えることがあります。
基準が高すぎると、少し言葉に詰まっただけでも失敗と判断し、自分へのプレッシャーを強めます。
自分の身体反応への過度な注意
「今、声が震えた」
「顔が赤くなっている」
と身体反応を監視すると、小さな変化まで感じ取るようになります。
さらに、震えや動悸を止めようとするほど、自分への注意が強くなり、緊張が増幅することがあります。
準備や経験の不足
何を伝えるのか整理できていない、話の内容が決まっていない、練習が不足しているといった準備不足も、不安を強めます。
また、経験の少ない場面で緊張することも自然です。
心だけでなく、適切な準備と練習も必要です。
緊張する自分への自己否定
スピーチ革命塾では、特にこの部分に注目しています。
「緊張する自分は弱い」
「普通の人はもっと堂々と話せる」
と自分を否定すると、自然な緊張に新たな苦しみが加わります。
緊張することと、緊張する自分を責めることは、別の問題なのです。
あわせて読みたい:あがり症は生き方の病?緊張の正体にある自己否定という罠
4.あがり症を悪化させる「二重の苦しみ」
あがり症には、二つの苦しみがあります。
一つ目は、動悸、震え、発汗、頭が働きにくくなるといった、自然な緊張です。
二つ目は、
- 緊張してはいけない
- 震えてはいけない
- 堂々と話さなければならない
- 緊張する自分は弱い
- また失敗してしまった
という、緊張への否定や自己攻撃です。
「緊張したらどうしよう」と考えることで緊張する。
緊張を感じて「やはりダメだ」と自分を責める。
また同じ状態になることを恐れ、人前で話す場面を避ける。
この循環によって、自然な身体反応だった緊張が、本人を苦しめる深刻な悩みへ変わっていきます。
緊張が「あがり症の悩み」に変わる流れ

あがり症の悩みを深くしているのは、緊張そのものではありません。
緊張を否定し、そのような自分を責め、次の失敗を恐れることで、自然な反応である緊張が大きな悩みへ育ってしまうのです。
国立精神・神経医療研究センターも、持続的な不安では、「自分が弱いからだ」といった考えや、不安な状況を避ける行動が、不安を強める場合があると説明しています。
参考:国立精神・神経医療研究センター「不安症」
5.なぜ話し方のテクニックだけでは改善しないのか
腹式呼吸、発声、姿勢、話の構成、原稿の作り方。
これらは、人前で分かりやすく話すために役立つ技術です。
しかし、テクニックを増やすだけで、すべての人のあがり症が改善するわけではありません。
テクニックがプレッシャーになることがある
多くの技術を覚えると、
「姿勢を崩してはいけない」
「はっきり声を出さなければならない」
「話の構成を意識しなければならない」
と、守るべき項目が増えることがあります。
自分を助けるはずの技術が、「すべて正しく行わなければならない」という新たなプレッシャーになるのです。
場数だけでは改善しないことがある
人前に立つ経験は大切です。
しかし、毎回、
「緊張を見せてはいけない」
「今回もダメだった」
と考えていれば、場数が苦手意識を強める経験になることがあります。
重要なのは、回数だけでなく、どのような心の状態で経験したかです。
あわせて読みたい:場数を踏んでも人前の緊張が変わらないのはなぜ?
心の土台が崩れると、本来の力を発揮できない
練習では話せるのに、本番になると崩れてしまう人は、話す能力がないわけではありません。
自分を否定し、身体反応ばかりを監視することで、本来持っている力を発揮できなくなっている可能性があります。
話し方を支える心のフォーム(心の型)が必要なのです。
あわせて読みたい:話し方の土台「心のフォーム」とは
6.あがり症を根本から改善する7つの方法

1.自分が緊張していることに気づく
最初に行うのは、緊張を消すことではありません。
「今、自分は緊張している」
と気づくことです。
動悸や身体のこわばりを、良い・悪いと評価せずに確認します。
緊張に巻き込まれた状態から、自分の状態に気づける状態へ移ることが第一歩です。
2.緊張を無理になくそうとしない
「緊張しないようにしよう」と強く意識すると、動悸や震えを何度も確認するようになります。
そこで、
「緊張していてもいい」
「この状態のまま、できることをしよう」
と考えます。
緊張を消すために使っていた力を、相手へ届けるために使うのです。
あわせて読みたい:緊張を受け入れると、なぜあがり症はラクになるのか
3.「緊張=ダメ」という意味づけを見直す
緊張するのは、弱いからとは限りません。
きちんと伝えたい、責任を果たしたい、相手の役に立ちたい。
そのような真剣さや責任感があるからこそ、緊張している場合もあります。
「それだけ、この場を大切にしているのかもしれない」と捉え直してみてください。
あわせて読みたい:緊張しやすい性格は、才能の証|あがり症の見方を変える心の整え方
4.完璧に話そうとしない
人前で話す目的は、完璧な自分を見せることではありません。
大切なのは、必要なことが相手に届くことです。
言葉に詰まったり、少し声が震えたりしても構いません。
「一度も間違えない」ではなく、「大切なことを一つ届ける」ことを目標にします。
5.「どう見られるか」から「何を届けるか」へ意識を移す
話す前に、次のことを考えます。
- 相手のために何ができるか
- この話は、相手にどう役立つか
- 相手に何を届けたいか
私は、プレゼンテーションは、相手へのプレゼントであると考えています。
自分をよく見せるのではなく、相手にとって役立つものを届ける。この意識が、自分へ向きすぎた注意を相手へ戻してくれます。
あわせて読みたい:人前で緊張や不安に負けない考え方|プレゼントマインドの真価
6.小さな成功体験を積み重ねる
いきなり大勢の前で堂々と話す必要はありません。
会議で一言発言する、少人数の前で自己紹介をするなど、少し緊張する程度の場面から始めます。
「緊張していても話せた」という経験を重ねることで、その場は次第に「危険な場所」から「経験したことのある場所」へ変わります。
その結果、恐怖や不安も少しずつ軽減されていきます。
7.準備と振り返りを整える
本番前には、
- 誰に向けて話すのか
- 相手に何を伝えたいのか
- 最も大切なメッセージは何か
- 話を聞いたあと、相手にどうなってほしいか
を整理します。
本番後は、失敗だけでなく、
- できたこと
- 相手へ届けられたこと
- 次回改善することを一つ
振り返ります。
反省と自己否定を分け、次の成功体験につなげましょう。
7.話す直前に緊張が強くなったときの対処法
ゆっくり息を吐く
緊張すると、呼吸が浅く速くなりやすくなります。
無理に大きく吸おうとせず、まずはゆっくり息を吐いてください。
緊張を完全になくすためではなく、身体の状態を少し整えるために行います。
会場の一人へ届ける
会場全体を意識すると、圧倒されることがあります。
うなずきながら聞いてくれる人や、穏やかな表情の人を一人見つけ、その人へ言葉を届けます。
「大勢の前で話す」から、「目の前の一人へ届ける」へ課題を切り替えます。
話す目的を切り替える
「緊張しないようにしよう」
「失敗しないようにしよう」
という目的を、いったん手放します。
代わりに、
「今日は相手に何を届けるのか」
へ目的を切り替えます。
緊張をなくそうとすると意識は自分へ向きます。届けることを目的にすると、意識は相手へ向かいます。
8.スピーチ革命塾が大切にする「心のフォーム」
スピーチ革命塾では、人前で自分らしく話すための心の土台を「心のフォーム」と呼んでいます。
どれだけ技術を身につけても、話す瞬間の心が崩れていれば、本来の力を発揮できません。
心のフォームは、主に「自己一致」と「プレゼントマインド」から成り立っています。
スピーチ革命塾における「自己一致」
「自己一致」は、カウンセリングの世界でも使われる言葉です。
ただし、ここでいう自己一致は、カウンセリング理論における意味とは違います。
スピーチ革命塾における自己一致とは、緊張や弱さを隠すために、実際の自分とは違う自分を作らないことです。
実際には緊張しているのに、堂々とした自分を演じる。
不安を感じているのに、自信のある自分を作る。
すると、本当の自分と、人前で見せようとしている自分との間にズレが生まれます。
これが、スピーチ革命塾でいう「自己不一致」です。
自己不一致の状態になると、
「堂々として見えているだろうか」
「緊張がバレていないだろうか」
と、自分を監視するようになります。
その結果、自分への意識がさらに強くなり、あがりを増幅させます。
自己一致とは、緊張している自分も含めて、今の自分の状態に気づき、その自分と戦わないことです。
自分を作らない。
自分を偽らない。
その状態で、今の自分にできることを相手へ届けていきます。
あわせて読みたい:あがり症を改善したければ、自分を作るのをやめなさい
プレゼントマインド
プレゼントマインドとは、
「自分がどう見られるか」
ではなく、
「相手のために何ができるか」
「目の前の相手に何を届けたいか」
へ意識を向けることです。
一言で表すなら、相手を少しでも喜ばせてあげたいという意識で話すことです。
ここでいう「喜ばせる」とは、笑わせたり機嫌を取ったりすることではありません。
分かりやすさ、安心、明るさ、元気、役立つ情報、気づきなどを届けることも、相手にとっての喜びになります。
自分をよく見せようとすると、意識は自分へ向かいます。
相手を少しでも喜ばせようとすると、意識は相手へ向かいます。
これが、スピーチ革命塾のプレゼントマインドです。
あわせて読みたい:話し方も人間関係も、相手を喜ばせてなんぼ

心・技術・実践をつなげる
心のフォームだけで、急に話し方が上達するわけではありません。
相手に伝わる構成、声の出し方、間の取り方といった技術も必要です。
そして、学んだことを安全な環境で試し、小さな成功体験を重ねることも欠かせません。
スピーチ革命塾では、
心 × 技術 × 実践
の三つをつなげながら、本番で自分らしく話せる力を育てています。
目指すのは、緊張しない人になることではありません。
緊張していても自分を偽らず、相手のために話せる人になることです。
9.スピーチ革命塾での改善事例

スピーチ革命塾では、緊張を無理になくすのではなく、心・技術・実践を整えながら、人前で自分らしく話す力を育てています。
ここでは、実際の改善事例を一部紹介します。
小学生からあがり症に悩んでいた50代看護師
手や声の震え、発汗に何十年も悩んでいました。
転機になったのは、「緊張をなくさなくても、緊張したまま話せる」と捉え直したことです。
自分との戦いを手放し、本当に伝えたいことを、自分の言葉で話せるようになっていきました。
【50代看護師Aさんの改善事例】
大学評議会の会長職を務めた40代経営者
大学評議会の会長として、挨拶と議事進行を任されました。
自分の笑顔と明るい声を生かし、「その場の空気を明るくする」ことを相手へのプレゼントとして本番へ臨みました。
会長職を無事に務め、「心がこもった話」と評価される成功体験につながりました。
【40代経営者Sさんの改善事例】
1年間の実践を重ねた50代男性
人前に立つと声や手が震え、頭が真っ白になることに悩んでいました。
「自分を偽らない」「緊張してもいい」「相手のことを考えて話す」という学びを、日常でも実践しました。
1年間の積み重ねによって会話への苦手意識が軽くなり、自分の成長を実感できるようになりました。
【50代男性の改善事例】
このほかの詳しい変化については、解決事例をご覧ください。
【解決事例一覧】
10.症状が非常に強い場合は医療機関への相談も選択肢に
あがり症だからといって、すべての人が医療機関へ行かなければならないわけではありません。
日常生活を送りながら、
- 会議やプレゼンで本来の力を発揮したい
- 緊張に振り回されずに話せるようになりたい
- 話す瞬間の心を整えたい
- 伝わる話し方を身につけたい
- 実践と成功体験を重ねたい
という場合には、心・技術・実践を整えることで、症状や苦手意識が改善していく可能性があります。
薬だけでは話す力や成功体験までは身につかない
医療機関では、状態に応じて薬物療法や認知行動療法などが検討されます。
薬によって、動悸や強い不安が和らぐ場合もあります。
ただし、薬で症状を和らげることと、
- 話す瞬間に自分を否定しないこと
- 自分を作らずに話すこと
- 相手へ意識を向けること
- 伝わる話し方を身につけること
- 人前で成功体験を重ねること
は同じではありません。
薬を飲むだけで、心のフォーム、話し方の技術、実践経験まで自動的に身につくわけではないのです。
日常生活を送れる状態で、あがり症を根本から整えたい場合には、話す瞬間の心まで扱い、実践経験を積める話し方教室も選択肢になります。
一方で、
- 強い不安によって仕事や学校へ行けない
- 人との関わりを広く避けている
- 不安のために眠れない状態が続いている
- 日常生活に大きな支障が出ている
- 強い落ち込みや、ほかの心身の不調もある
という場合は、無理に一人で抱え込まず、心療内科や精神科などへ相談してください。
医療によって状態を整え、そのうえで必要に応じて話し方のトレーニングを行う方法もあります。
参考:国立精神・神経医療研究センター病院「不安症」
11.あがり症についてよくある質問
あがり症は性格なので改善できないのでしょうか
性格を別人のように変える必要はありません。
改善していくのは、緊張への捉え方、自分を責める思考の癖、他人の評価への受け止め方、本番後の振り返り方などです。
考え方や行動を少しずつ望ましい方向へ変えることで、自分の性格や強みを生かしながら、緊張に振り回されにくい状態を育てられます。
場数を踏めば、あがり症は改善しますか
適切な段階で実践を重ね、小さな成功体験を積むことは改善に役立ちます。
ただし、強い恐怖を抱えたまま無理に人前へ出たり、本番後に自分を責め続けたりすると、苦手意識が強まることがあります。
場数の量だけでなく、どのような心の状態で臨み、経験をどう振り返ったかが重要です。
人前でまったく緊張しなくなる方法はありますか
緊張は、人間に備わった自然な防御反応です。
「絶対に緊張してはいけない」と考えるほど、身体反応を監視し、緊張が強くなることがあります。
目指すのは緊張をゼロにすることではなく、緊張していても必要なことを相手へ届けられる状態です。
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声や手の震えは周囲に気づかれますか
本人が感じているほど、聞き手には強く見えていないことが多くあります。
私も教室で多くの方のスピーチを見ていますが、本人は「かなり震えていた」と感じていても、聞き手からはほとんど分からないことが少なくありません。
自分が感じている震えの強さと、相手から見えている強さは同じではありません。必要以上に気にしすぎなくても大丈夫です。
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あがり症と社交不安症は同じですか
同じとは限りません。
あがり症は、人前で強く緊張する状態を表す一般的な呼び方です。
社交不安症は、対人場面や注目される場面への強い不安や回避によって、日常生活に大きな支障が生じている状態です。
生活への支障が大きい場合は、医療機関へ相談してください。
薬を飲めば、あがり症は改善しますか
薬によって、動悸や強い不安などの症状が和らぐ場合はあります。
ただし、薬を飲むだけで、緊張への捉え方、伝わる話し方、人前での成功体験まで身につくわけではありません。
薬はその場の症状を和らげる助けにはなっても、それだけですべての原因が解決するとは限りません。服薬については自己判断せず、医師へ相談してください。
話し方教室と医療機関のどちらに相談すべきですか
仕事や日常生活に大きな支障がある、強い不安や回避が長期間続いている場合は、医療機関への相談を検討してください。
日常生活は送れているものの、話す瞬間の心、伝え方の技術、実践力を身につけたい場合は、それらを総合的に扱う話し方教室が選択肢になります。
あがり症はどのくらいの期間で改善しますか
改善に必要な期間は、緊張の強さ、悩んできた期間、実践の頻度などによって異なります。
スピーチ革命塾では、半年から1年ほど継続するなかで、人前への苦手意識が軽くなったり、会議で発言できるようになったりする方が複数います。1年を待たずに、大きな変化を感じる方もいます。
短期間で別人になろうとせず、小さな変化と成功体験を積み重ねることが大切です。
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12.あがり症の改善は、自分との戦いを終わらせることから始まる
あがり症には、身体の防御反応、過去の経験、予期不安、他人からの評価への恐れ、完璧主義、準備不足など、さまざまな要因が関係しています。
準備、発声、話の構成、練習、場数も大切です。
しかし、どれほど技術を学んでも、
「緊張する自分はダメだ」
「弱い自分を見せてはいけない」
「堂々とした自分を演じなければならない」
と、自分と戦い続けていれば、心は常に乱れてしまいます。
私自身も長い間、緊張をなくそうとしてきました。
何度も人前に立ち、話し方を学び、それでも大切な場面で思うように話せず、自分を責めてきました。
だからこそ、今、はっきりと伝えたいことがあります。
あがり症の改善とは、緊張を完全になくすことではありません。
「緊張する自分を何とかしなければ」という自分との戦いを終わらせ、緊張しても相手のために話せるようになることです。
話し方は、テクニックだけではありません。
心そのものが、言葉となって表れます。
自分を否定することを、少しずつ手放す。
相手に心を傾けて話す。
話す瞬間の「心のフォーム」を整える。
伝え方の技術を身につける。
小さな実践と成功体験を重ねる。
心・技術・実践。
この三つを整えることで、人前での話し方は、大きく変わり始めます。
一人で改善することに難しさを感じている方へ

スピーチ革命塾は、埼玉県の深谷・大宮を中心に、全国オンラインでも指導を行っている、社会人専門の話し方教室です。
あがり症や、人前・対人場面での緊張を、メンタル面から根本的に改善することを専門としています。
緊張を一時的に抑えることだけを目的にするのではなく、
心・技術・実践
の三位一体トレーニングで、さまざまな場面で、相手が誰であっても、自分らしく話せる力を育てていきます。
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と迷っている方には、Zoom無料相談と体験教室をご用意しています。
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著者情報

大澤宏彰|スピーチ革命塾代表・あがり症専門メンタルトレーナー
法人営業を3年間経験したのち、小学校教員として14年間勤務。教育相談は累計700件以上。発達障害の分野で全国の最先端で活躍。人前で話してきた時間は、累計約2万時間。
自身も約20年間、重度のあがり症に苦しみ、話し方のテクニックだけでは大事な場面で力を発揮できない経験を重ねる。
現在は、埼玉県の深谷・大宮を中心に、全国オンラインでも、社会人のあがり症や人前での緊張をメンタルから根本的に改善する指導を行っている。